首の痛みを引き起すSFLとSBL
少し前から急激に首が痛くなった。
うつむき作業を終えた直後から痛みだした。
そして、首をあげた瞬間にビキーっと電流が走った。
痛くて前にも後ろにも左右にも曲げられない。
こんなことで悩んでいませんか?
首が痛む時には、痛む場所だけの問題ではありません。
こちらでは首が痛む原因と解消法について書いています。
首の痛みに潜むのは
首は重い頭を支えるのに常に負担がかかっています。
そんな首の重要な仕事の一つが姿勢の維持です。
首には前面を通る筋膜であるSFL(スーパーフィシャルフロントライン)と、後面を通る筋膜であるSBL(スーパーフィシャルバックライン)の影響を受けています。
筋膜とはいくつかの筋肉をまとめて包む膜であり、一見すると離れていて関係のなさそうな筋肉同士を連結しています。
SFLは身体の前面を頭からつま先まで通っており、SBLは頭の後ろから背中側を通って足裏までつづいています。
前面と後面の筋膜は主動筋と拮抗筋の関係にあり、どちらかが強くなり過ぎないようにバランスを保っています。
SFLの短縮がSBLの伸長を促し、またSBLの短縮はSFLの伸張を促します。
前後のバランスがしっかりと保てていればきれいな姿勢となります。
ですが、パソコンやスマホで頭部が前に出やすい現代人は、この二つのラインのバランスが崩れている場合が多いのです。
全身の前後の姿勢バランスは、SBLとSFLが緊張と弛緩を繰り返すことで維持されています。
そのため痛むのが首であっても、下半身のバランスや上半身のバランスが崩れている事が原因で首が痛んでいる事もあるのです。
SFLとSBLの違い
SFLは首を支える胸鎖乳突筋から腹直筋を経て、大腿四頭筋から前脛骨筋へと筋膜の緊張は伝わります。
SFLは速筋メインで収縮に優れており、危険を察知して身をすくめるような反応を起こします。
またマイナスの感情はSFLのラインを収縮し、身体を猫背にします。
マイナスな感情は無意識に臓器のある咽頭や乳房、腹部の内臓、鼠径部などを防御するからです。
普段から精神的なストレスやトラウマを抱えている人が硬くなるのも特徴です。
SBLは背骨のS字湾曲のバランスを保ちます。
SBLは目から後頭部を通り脊柱起立筋、ハムストリングから腓腹筋へと身体の後面を通り足裏の足底筋膜までつながります。
きれいな姿勢維持には、抗重力筋が集まり遅筋線維がメインのSBLが働く事であり、立位を可能にするこのラインは現代人の多くが問題を抱えている。
そのため首の痛みをとるためには、SFLの緊張をとってSBLの機能を取り戻すことが必要となります。
デスクワークなどで背中が丸くなり起立筋が引っ張られると、その力によって頭部に緊張が起こり目も疲れやすくなります。
逆にパソコンなどで目が疲れると、後頭下筋からSBLのライン全体に影響を与えます。
ヘッドマッサージなどで目の疲れがとれるのは、頭部と眼がSBLでつながっているからなのです。
SBLを働かせるためには
ここまで見てきた通り、首が痛んでいるとは言っても首に問題があるとは限りません。
特に姿勢が崩れている人は、足底の緊張をとるのが近道です。
足裏にある足底筋膜の緊張は青竹ふみなどで緩みます。
昔から青竹ふみが健康の秘訣とされていたのは、SBLを通してきれいな姿勢を作る事で身体の機能を高めていたからなのです。
また、ふくらはぎの腓腹筋や太ももの裏にあるハムストリングの筋肉を緩める事も効果的です。
これらを効果的に緩められるのが座位での前屈です。
やり方)
- 両足を前に伸ばし脚の裏全体を伸ばして座り、足の親指を手の指で握ります
- 息を吸いながら、背筋を伸ばして肩の力を抜いて胸を開きます
- そして息を吐きながら、背筋を伸ばしたまま骨盤から前に倒します
- 息を吐き切って頭も倒し、息を吸いながら戻ります
ポイントは力ずくで行うのではなく、身体の力を抜いて行う事です。
力が入って筋肉が緊張しないように気をつけましょう。
筋膜から整えて首痛を解消!
首が痛いからといって首の筋肉を揉んでも解決にはなりません。
痛みが起こるくらい首の筋肉が緊張するのは、背中側の筋肉が強く緊張しているからです。
そのため首の痛みを解消しようと思えば、背面をしっかりと緩める事が大切です。