心不全と腎不全はセットで考える
狭心症などの虚血性心不全を治す薬で身体を悪くした。
そんな場合もあるのをご存知でしょうか?
薬は症状を抑えるのに効果的ですが、副作用のない薬はありません。
中でも、心臓に使う薬の多くは腎機能の低下を招きます。
こちらでは心臓と腎臓の関係と、両方が悪化するメカニズムについて書いています。
心臓と腎臓の関係
心臓と腎臓はお互いに影響しあっています。
心不全が起これば腎不全が起こりやすく、腎不全が起こるなら心不全も起こります。
さらに、糖尿病や血管炎、敗血症など全身に影響する病気にかかると、心臓と腎臓の機能が同時に低下することもあります。
血管炎は血管壁が白血球などで攻撃される疾患で、腸内で産生されたエンドトキシンなどの毒性物質が血管に入っても起こります。
そして、血管で起こった炎症は血流不足を起こし、身体のさまざまな臓器の異常も引き起こします。
心臓の働きが弱まり身体への血液の供給が不十分になると、腎機能の低下も併せて起こり生命の危機に瀕します。
そのため、心不全の症状のある患者には腎臓の機能も検査します。
実際に、急性心不全で入院された患者さんの2~3割が急性腎障害を起こしているそうです。
特に糖尿病を患っている人は心臓と腎臓の両方が悪くなっている事が多いそうです。
心臓の機能が低下した時の腎臓
そもそも心臓の機能が低下すると、
- 神経やホルモンの乱れ
- 腎血流量の低下
- 腎静脈圧の上昇
などが起こります。
心臓は他の臓器よりもしっかりと自律神経とホルモンによって守られています。
これは心臓に不具合が生じた時に、すぐに対処するためです。
心臓が病気になっても自律神経とホルモンにより、
- 血圧維持
- 心臓の収縮力を高める
- 心拍数を増やす
などをすることで生命を維持しています。
しかし、これらの対処は本来なら一時的なものなので、慢性的に起こっていると逆に心臓の負担が増え、腎臓などの血流が低下し心臓と腎臓の両方に問題が起きてしまうのです。
薬による心臓や腎臓への影響
利尿薬の投与は血管内の血液量を減少させるので、心拍出量が減少する場合があります。
すると、腎臓の血流量も減るので腎機能の低下を招く恐れがあります。
ですが、利尿薬によって体液量を減らすことで腎静脈圧が下がれば腎機能が改善することもあるので、利尿薬が悪いとも限らないのです。
血圧を下げてくれるACE阻害薬は心不全の患者さんには極めて重要な薬剤の一つです。
ですが、ACE阻害薬はクレアチニン値を上昇させるので、腎機能を低下させている可能性があるのです。
血管拡張薬の使用も腎障害を起こす頻度が高かったことが報告されています。
そのため、狭心症などの虚血性心不全は食事や体操で解消するのが理想なのです。
生活習慣
心臓と腎臓の負担を避けるには、食べ過ぎず肥満に注意することが基本です。
心臓も腎臓も年齢と共に弱ってくる臓器なので、運動不足の身体で食べ過ぎれば身体が弱るのを加速させます。
そして薄味を心がけ、塩分の取り過ぎに気をつけることも大切です。
心臓も腎臓も血流が良い方が負担が少ないので、血流を悪化させる過剰な栄養は禁物です。
また、軽い運動が狭心症や心筋梗塞の予防となります。
毎日、運動している人は交感神経系ホルモンのカテコールアミンの分泌が少なくなり心臓への負担が軽くなるからです。
とは言っても、運動していない人が急に動くと酸素を取り込む効率が悪く心臓の負担が大きいので、初めは軽めのウォーキングなどを30分くらいから始めるのがおすすめです。
筋トレなどは、急激に血圧を上げるので気をつけましょう。
心臓と腎臓は別々に考えない!
心臓と腎臓は関係が無いように見えて、最も関係が深い内臓です。
心臓に良かれと思って飲んでいる薬で、腎臓の機能低下を招くこともあるので注意しましょう。
また、心不全の原因が腎機能の低下から来る場合もあるので、腎臓も気にして生活するのが大切です。