五十肩での注射は副作用はあるの?
五十肩といえば、中高年の多くの方が悩む疾患の1つではないでしょうか?
安静時や動作時、はたまた夜間に激しい痛みが襲いかかる五十肩。
次第に痛みは和らぐが、今度は肩が動かしにくくなり日常生活にも支障が。
そんな激しい痛みや、動きにくさから注射に頼りたくなる時が出てくるかと思います。
ですが、注射も薬と同じで副作用があるので注意が必要です。
今回は、そんな五十肩と注射の副作用についてご紹介します。
五十肩とは
中高年の方が悩まされる肩の痛み「五十肩(別名;肩関節周囲炎)」。
ですが、肩に痛みが出る疾患は必ずしも五十肩とは限りません。
五十肩以外にも肩の痛みを訴える疾患は多数存在しますので、その他の疾患との鑑別も必要となってきます。
五十肩はレントゲン所見上異常がなく、骨や関節軟骨など器質的な異常が見当たらないのに痛みがある場合、そして関節包などの軟部組織に異常を起こしてしまっている状態のことをいいます。
五十肩が起こる原因ははっきりと分かっていませんが、肩の使いすぎや、軽い外傷の繰り返しによって起こったりします。
五十肩は急性期、慢性期、回復期に分かれており、その時期によって症状が変わってきます。
急性期には、動作時や安静時に激しい痛みを伴ったり、夜間時にも痛みを感じるのが特徴です。
慢性期は、痛みが急性期に比べ和らぎますが、肩や腕の動きにくさが目立ってきます。特に髪を結ぶ動作(結髪)、帯を身体の後ろで結ぶ動作(結帯)が行いにくくなり、日常生活に支障が出る時期になります。
回復期は、少しずつ方の動きが取り戻され、日常生活も支障なく行えるようになってきます。
そんな中、激しい痛みや動きにくさに耐えきれず、薬や注射に頼りたくなる場合も出てくると思います。
ですが、気をつけれほしいのが薬はもちろんのこと注射にも必ず副作用があるという事です。
では次に注射による副作用についてご紹介します。
注射による副作用
では、注射の副作用についてご紹介します。
五十肩で使用される注射はステロイド注射とヒアルロン酸注射があります。
では、それぞれの効果と副作用について詳しくご紹介します。
ステロイド注射
効果:炎症を押さえる(抗炎症作用)・痛みを除く(除痛)
ステロイドとはそもそも、副腎皮質ホルモンの1つで自分自身からも分泌されています。
効果は高いので、夜間痛など強い痛みを感じる時に使用されます。
ほかにも免疫、アレルギーを抑える働きがあるため、さまざまな疾患で使用されます。
副作用
・感染性関節炎(痛み、腫れ、熱感、発赤)
・関節破壊
・皮膚萎縮
・リボジストロフィー(脂肪萎縮症)
・皮膚の色素脱失
主にこのような副作用があります。
また、最近の研究ではステロイド注射により
・腱細胞の増殖の阻害作用
・腱の修復阻害作用
・コラーゲン繊維束の伸び縮みする能力の減少
つまり、局所の組織が弱くなり(脆弱化)、抵抗力が落ちるという事です。
ステロイドホルモンはさまざまな疾患に用いられますが、その反面強い副作用があるという事を忘れないで下さい。
ヒアルロン酸注射
効果
・肩関節の動きをスムーズにする
・関節の痛みを抑える
・炎症を抑える
・軟骨を保護する
副作用
・ショック(兆候:顔面蒼白、冷や汗、立ちくらみ)
・じんましん
・かゆみ
・浮腫
・注射後の疼痛
・感染症(稀)
・関節内出血(稀)
しわ取りなど、美容で多く使用されるヒアルロン酸注射。
こちらは痛みを緩和するというよりも、主に関節の動きを促進する場合に使用されます。
副作用はステロイド注射より低いですが、重症な副作用だとショック状態(生死にかかわる)に至ったり、感染症や関節内出血を起こすことがあります。
このように注射も副作用が伴います。
また、注射をすることで痛みや動きやすさは解消されますが、五十肩そのものを治す力はありません。
あくまでも、五十肩を治すための手助けにしかならないという事を忘れないで下さい。
注射以外で痛みを止める方法
では、注射以外で痛みを止める方法はあるのでしょうか?
誰でも簡単にできるとっておきのセルフケア方法をご紹介します。
それは「アイシング」です。
古典的な方法ですが、正しく行うことで意外な効果が期待できます。
アイシングもあくまで鎮痛目的であるため、ずっと続ければ良いというものではありません。
ですので、急性期の痛みをコントロールするための対症療法とお考えください。
五十肩の急性期における効果的なアイシング方法は 氷嚢(ひょうのう;ビニール袋に氷と水を入れたもの)を使用します。
やり方はまず、痛い部分を20分間程冷やします。
患部が熱感をもっていて何もしないでもジンジン痛い場合は、20分冷やした後一旦休憩し、患部の皮膚の温度が常温となるまで待ち、皮膚の温度が元に戻ったら再度冷却を行って下さい。
この行程を痛みが気になる際に行ってください。
一日1回、1セット行って頂くだけでもだいぶ楽になると思います。
この時の注意点は、
・保冷剤や氷で直接冷やさない
・アイシングのしすぎない
これらをしてしまうと凍結をさせる危険性や、冷やし過ぎにより血行が悪くなり他の痛みを引き起こす恐れがあります。冷やす場合はタオルやハンカチなどで氷嚢をくるんで冷やしましょう。
また、急性期の痛みに苦しんでいる際に、アイシングを行うと、その効果に驚くと思います。するとついついアイシングをたくさん行えば良いと錯覚してしまいがちです。
ですが「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉のとおり、アイシングの行いすぎには注意しましょう。
もし、繰り返す場合は皮膚の温度が完全に元通りになってから行うようにしてください。
本格的に肩関節の可動性を回復させる治療を受ける前までその場の痛みをしのぐものとして活用していただけたらと思います。
また、慢性期の際は冷やすのではなく温めましょう。
お風呂や温湿布などで幹部をしっかり温めて血行を良くして筋肉が固くならないようにするのがポイントです。
あとは、痛みが出ない程度に肩を動かして肩が動ける範囲を増やしていきましょう。
では、最後に五十肩を解消するストレッチをご紹介します。
五十肩解消ストレッチ
では、五十肩解消ストレッチを3つご紹介します。
まず1つ目は肩関節の動きを良くする「振り子体操」です。
準備するもの
ペットボトルやダンベルなどの片手で持てるおもり (重さが500g~1㎏程度の物)
①股関節くらいの高さのテーブルに片手を置く
②もう片方の手にペットボトルなどの重りを持つ
③重りを持ったほうの手を前や後、左右などいろんな方向に揺らす
左右両方とも行いましょう。
もし、痛みがある場合は無理せず、痛みが出ない程度で行いましょう。
2つ目は「肩の体操」をご紹介します。
①症状がある肩を下にして、横向きに寝る
②顔の前に症状がある側の肘を置き、手と手を合わせる
③それに逆らって前腕を倒す
④この状態を3秒間保ち、元に戻す。
※腕が上がらなくて、顔の前に肘が置けない場合は、無理のない位置に置きましょう。
3つ目は「肩甲骨はがし」をご紹介します。
肩甲骨の動きが悪くなると、肩の動きが悪くなるでしっかりと肩甲骨を動かしましょう。
①両腕を肩の高さまであげて、肘を90°に曲げる
②背筋は伸ばし、胸をはる
③その状態で、両腕を上・下に動かす
*肩甲骨を動かすイメージをして行って下さい。 お風呂上りに5回、2セット行って下さい。
まとめ
五十肩は、肩に強い痛みを感じたり、肩がうごきにくくなったりと、生活にも支障が出てきます。
そんな中で、注射に頼る場面もでてくるとは思いますが、くれぐれも注射に頼り過ぎないように気をつけて下さい。
なるべく、自分自身の力で改善できるように心がけましょう。