繰り返す腱鞘炎を再発させないためには
腱鞘炎の対処法が知りたい。
腱鞘炎になってしまい痛みに苦しんでいる。
家事や育児に激痛が伴う。
整形外科で湿布はもらうがあまり効果がない。
こんなことで悩んでいませんか?
こちらでは繰り返す腱鞘炎の原因と解消法について書いています。
腱鞘炎とは
腱鞘炎とは筋肉の腱を包む腱鞘が何らかの原因で厚くなったり硬くなったりして、腱が腱鞘を通過する際に痛みが出る症状です。
腱と腱鞘がこすれ合うことで炎症が起こり、炎症が起こっている個所が痛んで腫れます。
安静にしていれば炎症は治まりますが、また指を使う事で炎症が再発します。
腱鞘炎を何度もくり返しているとバネ指と呼ばれる症状が出てきます。
バネ指まで悪化すると簡単には炎症が治まらなくなるので注意が必要です。
腱鞘炎の痛みは安静にするとマシになるので、とりあえず様子を見るという人が多くいます。
ですが一度、腱鞘炎になった人はきちんと対処しないと何度もくり返す恐れがあります。
手の指は主な骨だけでも27個の骨からできており、多くの筋肉がくっつくことで多彩な動きを可能にしています。
そして筋肉と骨の結びつけているのが腱になります。
手首から指先にかけては主に腱がくっついています。
腱は筋肉を束ねたもので、伸縮性が落ちる代わりに頑丈になっています。
そんな腱を保護するために腱鞘は存在し、本来なら炎症が起こらないようになっています。
腱と腱鞘の間には滑液という滑りを良くする液があるので、炎症は起こらずに滑らかに動く事が可能です。
ですが、何らかの原因で滑液が不足することで腱鞘炎が起こります。
バネ指とは
腱鞘炎が進行すると、指がカクンと何かに引っかかる現象が起こります。
この引っかかった感じはロッキング現象と呼ばれ、バネ指の代表的な症状です。
これは腱鞘炎によって起こった炎症が原因で、腱鞘が厚くなったり硬くなったりして腱が引っ掛かるようになったためです。
指を動かそうと強い力を加えれば引っかかりがとれて動きますが、引っかかりからとれた腱がカクンと跳ねるように動く様子がバネのようなのでバネ指と呼ばれます。
ここで問題となるのがバネ指になっても炎症が鎮まると痛みは治まるという事です。
ですが指は痛くないからとロッキング現象を放っておくと、さらに悪化していく恐れがあります。
ロッキング現象は悪化すると、指が完全に伸ばせなくなります。
見た目には分からなくてもグーをすることも出来ないほどに強くロッキングしてしまいます。
バネ指を放っておくと最終的には関節の変形につながる恐れもあるのです。
整体などでバネ指は治せますが、関節の変形は治せません。
関節の変形は手術をしてもキレイに治るとは限らないのが現状なのです。
だからこそバネ指になったら早期に対処することが必要です。
もっと言えば腱鞘炎の時点で再発しないような対処をすることが望ましいと言えます。
そして人間の指はお互いが協力しあって動くので、始めは1本だけの腱鞘炎やバネ指であっても隣の指に影響が出てきます。
結果として人差し指だけがバネ指だったのが、中指や薬指も曲がりにくくなるということもあるのです。
だからこそバネ指まで進行したら早期の対処が肝心です。
手首が痛む場合はドケルバン症
腱鞘炎に分類される中にドケルバン症という症状もあります。
ドケルバン症は手首で起こる腱鞘炎で、親指限定の疾患です。
腱鞘は指だけでなく手首の親指側にもあり、この部位でも腱鞘炎が起こります。
この手首で起こる腱鞘炎をドケルバン症と言います。
ドケルバン症が起こる原因は腱鞘炎と同じですが、手指の使い方によって負担のかかる部位が違うために起こります。
親指を広げたり反らしたりする動作で強い痛みがでるのが特徴です。
ドケルバン症は自分で簡単にチェックできるアイヒホッフテストという方法があります。
- 親指を他の指で包むように軽く握る
- 親指側を上にした状態から、ゆっくりと手を下に曲げる
この動作で伸ばされた手首に強い痛みがあればドケルバン症と言えます。
簡単なテストですが、病院でもドケルバン症を判断するための検査として重宝されています。
腱鞘炎が起こりやすい人
腱鞘炎は基本的に使い過ぎが原因で起こるので、
- パソコン作業
- 楽器の演奏
- 文字の書きすぎ
- 細かい手作業
など手指をよく使う人に起こります。
特に最近になって増えているのが仕事でパソコン作業が多い人です。
毎日のように机に座って何時間もパソコン作業をこなすのは極めて手指にとって重労働です。
安静にしたくても出来ない仕事の人は、腱鞘炎をごまかしながら仕事を続けるので悪化する傾向にあります。
また若い人ではスマートフォンのやり過ぎも目立ちます。
特にスマートフォンの操作を片手で行っている人はドケルバン症のように手首が痛む人も増えています。
さらに仕事で手を使っている人はもちろん、仕事でそこまで手指を使っていない人でも腱鞘炎になりやすい時期があります。
それが女性だと更年期や妊娠・出産の時期です。
この時期には身体の炎症を抑える女性ホルモンのエストロゲンが不足し、普段と同じような行動をとっていても腱鞘炎が起こりやすくなります。
エストロゲンは身体の水分代謝を高めて炎症を起こりにくくする作用が知られています。
そのためエストロゲンの減少は腱鞘炎だけでなく、身体中で炎症が起こる原因となります。
男性であれば糖尿病の人や人工透析を受けている人が腱鞘炎を起こしやすいと考えられています。
糖尿病や人工透析を受けている人は末梢の血液が滞りやすくなります。
腱と腱鞘の間を流れる滑液は、末梢の血流が悪くなると分泌量が減少します。
結果として腱と腱鞘の間で摩擦が起こりやすくなり、腱鞘炎の原因となるのです。
そのため普段から末梢の血流を高める事が、腱鞘炎を根本的に解消することにつながります。
末梢の血流を良くするには
末梢の血流を良くするには腕の筋肉の緊張をとる必要があります。
手首から先の血流は、肘から手首までの筋肉に左右されます。
自分の腕を揉んでみて硬い人は筋肉の緊張を緩めないと血流が悪い状態になります。
ですが腕を揉んでも筋肉の緊張はとれません。
腕の筋肉の緊張をとるのに効果的なのがPNF(神経筋促通法)と呼ばれる方法です。
名前は難しそうですが、やり方は簡単でストレッチよりも効果があります。
やり方)
- 胸の前で手首を伸ばします(アイーンの状態)
- その状態から手首を反らしますが、逆の手で動かないように抑えます
- 5秒ほど力を軽く入れて下さい
- 次は掌を上に向けて同じようにします
動こうとする手を止める事に対して、身体は動けないのは問題がある身体と判断します。
問題があると判断した身体は筋肉を緩めて血流を良くし滑液を分泌します。
結果として腱鞘炎やバネ指の原因となる末梢の血流の悪さや滑液不足を解消します。
このPNFの方法は全ての筋肉に応用が可能な便利な方法です。
指の痛みには早めの対処が肝心!
腱鞘炎やバネ指は指を使う人であれば誰でもなる可能性があります。
その中でも産後や更年期の女性は特に腱鞘炎やバネ指にはなりやすくなります。
また男性であっても血流が悪い人は悪化しやすいので注意が必要です。
PNFという方法は、マッサージやストレッチよりも効果的に血流を良くして滑液を分泌させるのでおすすめです。