過敏性腸症候群を改善していくには胃の働きが重要
昼過ぎになるとお腹がゴロゴロいう
通勤や通学の時に電車に乗るとトイレで何度も途中で降りる
静かにしないと行けない環境になるとお腹が張って痛む
下痢や便秘を繰り返す
このようなお悩みはありませんか?
このような状態が数カ月続いた状態を過敏性腸症候群と言います。季節の変わり目や環境が変わる時に症状がでやすくなります。このブログで過敏性腸症候群の原因と改善法をお教えします。
過敏性腸症候群とは
腸に炎症やポリープなどの疾患がないのにお腹の痛みや調子がわるく、下痢や便秘を繰り返したり、腹部膨満感が続いたりする病態です。人によって強い下痢症状であったり、便秘の方が強い症状であったりと様々で数ヵ月以上続く状態のときに最も考えられる病気です。
病院へ行っても器質的な異常が無く原因不明と言われる事が少なくありません。
およそ20代から40代に多く、日本人の10%~15%程度の人がこの病気であるといわれている、よくある病気です。年齢とともに減ってくることがわかっています。命に関わる病気ではありませんが、お腹の痛み、下痢や便秘を繰り返したり、腹部膨満感などの症状のために日常生活に支障をきたすことが少なくありません。
過敏性腸症候群の症状は
過敏性腸症候群の主な症状は
腹痛、腹部膨満感それに伴い排便の状態が下痢型、便秘型、混合型の3つに分かれ、症状として起こります。排便後に痛みが軽くなります。
・下痢型
お腹が気持ち悪い、お腹が鳴るといった腹部の症状を伴い、泥状便、水様便になります。下痢型は男性に多いです。過敏性腸症候群により不眠や不安・抑うつなどの症状が出る方もおられます。
・便秘型
一般的なものとは逆に腸が動きすぎて起こります。腸が過剰運動で狭く細くなって便が通りづらくなり、細切れに。腸に停滞する時間が長くなるので、水分が吸収されて硬い便、コロコロの形状になります。便秘型は女性に多いです。
・混合型
泥状便、水様便、硬い便、コロコロ便になったりする
過敏性腸症候群の診断基準に下記になります。
過敏性腸症候群(IBS)の診断基準(ローマⅢ基準)
最近3ヵ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こり、
下記の2項目以上の特徴を示す
1)排便によって症状がやわらぐ
2)症状とともに排便の回数が変わる(増えたり減ったりする)
3)症状とともに便の形状(外観)が変わる(柔らかくなったり硬くなったりする)
過敏性腸症候群の原因
過敏性腸症候群を発症する原因は、はっきりとはわかっていませんが、心理的ストレスや身体的ストレスが自律神経を介して腸に影響を与えている事がわかっています。
腸と脳は神経によってつながっていて、脳が心理的ストレスを感じると、その信号が腸に伝わって腸の運動に影響を与えることがわかっています。
過敏性腸症候群の患者さんでは、この信号が伝わりやすくなっているため、腸が過剰に反応してしまうのです。
このとき腸では、「セロトニン」という神経伝達物質が腸の粘膜から分泌されます。
セロトニンというと、うつ症状と関連してイメージする人が多いかもしれません。しかし実は、体内のセロトニンのうち、脳などの中枢神経に存在しているのはわずか1~2%程度で、残りの約90%は腸内に存在しているのです。セロトニンが「セロトニン受容体」と結合すると、腸のぜん動運動が異常をきたし、下痢や便秘の腹部症状を引き起こすのです。
なぜ胃の働きが重要になるの?
胃の働きは
1,食べたのものが一時的に蓄えられる
2,消化の第一段階が行われる
大量の胃酸が分泌される
特に重要な胃酸は、胃粘膜から分泌されるペプシノゲンをペプシンというタンパク分解酵素に変えます。胃酸の分泌を抑える薬を服用、胃を切除した人、ピロリ菌に感染している人は胃酸が減り、タンパク質の消化吸収が低下してしまいます。
また、胃酸はpH1~2の強酸で、食べ物と一緒に取り込まれた細菌やウイルスを殺菌解毒します。胃酸を抑えると細菌やウイルスが腸まで届きやすく、おなかが張ったりガスがよく出るといった小腸内の細菌異常繁殖の一因となります。
胃潰瘍、逆流性食道炎でプロトンポンプ阻害薬が処方されたり、市販の胃酸分泌抑制薬を服用することがあると思います。
日本人はもともと胃酸分泌が少ない民族、胃酸を長期に抑えると、消化に負担がかかり、タンパク質代謝の妨げや腸内環境の乱れにつながり、腸の負担になってきます。
過敏性腸症候群の5つの改善法
改善していくうえで大切な事は、胃の状態を良くすること、ストレスケア、生活改善や食事に気をつけることです。
胃の状態を良くする
食べて胃を整えるには、胃酸の分泌量を適量に調整し、胃や腸の消化吸収をスムーズにしてくれるものを食べるのが最適。
たとえば大根には、デンプンを分解するジアスターゼという酵素が豊富です。
また、荒れた胃の粘膜の修復には
ほうれん草が活躍します。
粘膜の免疫を高めるカロチンやビタミンCが豊富だからです。
その他にも次のような効果的な食物をバランスよくとるように心がけたいものです。
●消化不良⇒消化を促進する
消化酵素にはデンプンを分解するもの、タンパク質を分解するもの、脂肪を分解するものがありますが、この3つを兼ね備えているのが納豆。納豆は栄養豊富な滋養強壮食であるばかりか、類を見ない優れた消化剤です
。
また、消化によいといわれる大根の2倍のジアスターゼを含むのがヤマイモ。消化の悪い麦飯にとろろ汁をかけて食べるのもその理由からです。
タンパク質をよく消化するのはパパイヤ、イチジク、パイナップルなど。酢豚にパイナップルは理にかなっているわけです。
●胸やけ、空腹時の胃痛⇒胃酸を抑える
胃酸はpH2の強酸で金属も溶かしてしまいます。これを中和するにはアルカリ性のカルシウムを多く取るのがよいでしょう。牡蠣やワカメ、コンブなどに多く含まれます。
また、胃酸過多はストレスやたばこの吸い過ぎなどでも憎悪するので、胃酸過多の煙草のみの人は気をつけてください。精神安定作用のある蓮の実、ユリ根、ナツメがおすすめです。
●お年寄り、胃弱者⇒胃酸の分泌を促進
胃痛は胃酸過多のせいだと思っている人の50%以上は、逆に胃酸が足りないというデータもあります。特に胃弱の人やシルバー世代はほとんどの場合胃酸が少ないようです。
胃酸の分泌を促し、食欲を亢進させるのがアロエやニンニク、ペパーミント、生姜、シソ、梅干、ラッキョウ、酢の物など。香辛料にはおおむね胃酸を分泌させる作用があります。
●炎症、潰瘍を抑える
モロヘイヤ、オオバコなど、粘質多糖類を含む食品はただれを抑える働きがあります。モロヘイヤは栄養の宝庫ともいうべき野菜で、ビタミンやミネラルの含有量は野菜の中でも群を抜いています。
炎症を抑えるだけでなく、免疫力を高めて炎症を予防するはたらきもあります。
ビタミンUというキャベツ特有の成分は、消化作用と胃粘液の分泌を高め、潰瘍を予防します。また、プロポリスには胃炎や潰瘍の症状を和らげる作用があります。
●胃粘膜を保護する
胃粘膜に皮膜を張り、保護してくれるのがアロエの皮を取ったゼリー質やハトムギ。また、モズクやワカメ、コンブなどに含まれるヌルヌル成分フコイダンは、胃粘液の代わりをしたり胃壁を補修する作用があります。
ストレスのケアをする
生真面目な性格や几帳面さを持った人は要注意!自律神経の乱れ。
生真面目な性格や几帳面さを持った人が、心理的ストレスがかかり過敏性腸症候群の症状が悪化すると言われていますので注意が必要です。
趣味や散歩やジョギング、サイクリング、水泳やストレッチ体操。適度な運動を生活に取り入れることで、ストレスを解消しましょう。具体的には息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行うようにしてみてください。
あくまで目安ですので、 自分自身の体力や体調にあった適切な運動を選んで、無理のない範囲で挑戦することをおすすめします。普段歩いてない方でしたら今より10分は長く歩くようにしてみたりしてみてください。
自律神経は交感神経と副交感神経にわけられ、この2つがバランスよくはたらいていれば身体を適切な状態に維持・調節できるといわれています。
特に季節の変わり目は自律神経の乱れが生じやすいですので注意が必要です。
しかし、ストレスが強まるとこのバランスが崩れ、交感神経が過度に反応して緊張状態をつくりだしていきます。
*交感神経(活動モード)
交感神経がはたらくのは活動している時、緊張している時、ストレスを感じている時にはたらきます。仕事・家事・育児・運動・勉強などをしている時ですね。
心拍数は増えて、筋肉がかたくなって、血管は細く収縮します。活動モードになっているので、すぐに反応できる体勢になっています。仕事の指示をうけて臨機応変に動けるのも、家事をパッパッとこなせるのも、スポーツで相手の動きに瞬時に反応できるのも、交感神経がはたらいているおかげです。
*副交感神経(休息モード)
副交感神経がはたらくのは休んでいる時。眠っている時がはたらきがピークですが、そのほかにも、食事中、お風呂にはいっている時、ゆったり気分でリラックスしている時にはたらきます。
心拍数は落ち着いて、筋肉もゆるんで、血管も広がります。胃や腸などの消化器系の動きがさかんになって、栄養の吸収や老廃物の排出が促進されます。
つまりは、新陳代謝、疲労の回復、ケガなどの修復をおこなって、元気な体に戻す作業をする時間です。気分的にもゆったりのんびり、副交感神経が最高にはたらいている時間ではないでしょうか。
睡眠の質を上げる注意点!
現代はとにかく忙しい人が多いからか、睡眠が少ない人ばかりです。さらに普段のストレスから不眠の人も多い
です。平均睡眠時間は6時間と短めで、少ない睡眠は体にいい影響を与えません。せめて睡眠の質を上げていきましょう。
①食事は床に就く2時間以上前にすませ、胃腸を休めてから寝るのが理想的です。
②体を温める食事を選びましょう。人は高い体温が下がるときによく眠れます。例えば唐辛子に含まれているカプサイシンには、体温を上げた後に下げる作用がありますから、そういった食材を選ぶといいでしょう。
③運動は夕食後1時間以上たっていて、床に就く2時間以上前までに行うといいでしょう。適度な疲労感は、睡眠のよきパートナーです。しかし寝る直前に運動すると体温が高くなりすぎ、寝付くことが難しくなりますから注意しましょう。
④入浴はシャワーですませるのではなく、40度くらいのぬるめのお湯にゆっくりつかるのが効果的です。リラックス効果が得られるだけでなく、高くなった体温を放熱しようと血管が開くことで、副交感神経が優位になります。そして血流のよくなった四肢から熱が逃げていき、体温が下がることで寝付きやすくなるのです。風呂上がりに手首や足首を伸ばすといった軽いストレッチを行うことも、質のいい睡眠の後押しとなります。
食事で気をつける事
腸に良いということで、食物繊維や発酵食品を摂っているかたが多いと思いますが、過敏性腸症候群になっている人には逆効果になっている事があります。
低FODMAP食と言うのが過敏性腸症候群に効果があると分かってきています。
FODMAPとは
F(Fermentable:発酵性)
O(Oligosaccharides:オリゴ糖)
D(Disaccharides:二糖類)
M(Monosaccharudes:単糖類)
P(Polyols:ポリオール*)
のことで、これらの摂取を控える食事療法を 「低FODMAP食」と言います。
低FODMAP食とはオリゴ糖・二糖類・単糖類・ポリオールを少なくした食事法です。
①単糖類・二糖類の多い食材を控える
果物類全般、砂糖(甘い物)、ドライフルーツ、ジュース、はちみつ、乳製品
②オリゴ糖を控える
甘味料に含まれるオリゴ糖、大豆、小豆、ごぼう、玉ねぎ、にんにく、おくら、大麦、ライ麦、小麦
③発酵食品を控える
納豆、粕漬、漬物、キムチ、麹、味噌、チーズ、ヨーグルト
④ポリオールを控える
ソルビトール
食品添加物としては主に甘味料の用途で使用されています、過敏性腸症候群でなくても、食べ過ぎると、腸から吸収されにくくなり、下痢を起こすことがあります。自然界では、果実や海藻に含まれ、とくにリンゴ・梨・桃などに多く含まれています。
マンニトール
食品添加物でガム、キャンディ、佃煮などの用途に限定して使用されています
キシリトール
食品添加物でガム等に甘味料の用途で使われています。
これらの糖類は、以下ようなの特性を持ちます。
・腸内細菌叢が増えすぎてしまい腸内の浸透圧が高くなり水分が増加し過ぎてしまい、過敏な腸がさらに過敏となってしまいます
・腸内細菌のエサになるとともにガス発生の原因にもなること
・腸の蠕動運動を活発にすること
腸の働きを活発にしてくれる、という良い面もある「FODMAP食品」ですが、過敏性腸症候群の人にとっては、上記の特性は「下痢」や「腹痛」などの原因になると考えられ、摂取を控えることでそういった症状が軽減することが報告されています。
低FODMAP 食の方法は
①~④の食材を控えてみます。そこで過敏性腸症候群の症状に変化が出たら、①~④の食材を項目ごとに食べて反応をみます。症状が強くなるものがあれば、その項目を減らします。
身体を動かす
日常で緊張が途切れない状態でいるのは、自律神経のうちでも心身を興奮させる交感神経が優位になります、そこでゆっくり体操をすることで、心身を休める副交感神経を優位にしてくれます。
仕事の合間や疲れたなと感じたときに、是非お試し下さい!!
①椅子に座り、背筋を伸ばして胸を広げます
②口をすぼめて、お腹を凹ましながら30秒間かけてゆっくりと息を吐きます
③30秒かけて、息を吐いたら、15秒間かけて鼻で息を吸います この吐いて吸うを5回行ってください。
なれてきたら、吐くときを40秒、吸うときを20秒にして1分間かけて行ってみて下さい。
自律神経のバランスが良くなり、疲れが改善されますよ。
腋窩とは、脇にの事でここにはリンパが溜まりやすいところになります。 ここのリンパが詰まってしまうと、首や肩こりの原因になりますので、このストレッチで、腋窩のリンパを流してあげましょう。 (やり方) ①両足を肩幅に広げて立ちます。 ②両腕を肩の高さまで上げて、肘を90°に曲げて下さい。 ③片腕を下に下げて、この状態から腕を上、下にゆっくりと動かしていきます。 POINT:身体と腕が90°、肘が90°の状態を保ったまま行うことです。 これを10回ずつ行ってください。
ガスの出る体操があります。
①仰向けになり、腰から脚を天井に向かって伸ばします。
②腰の下に腕を入れ、支えます。
すると、内臓が逆さまになり、停滞しているガスが出やすくなります。
まとめ
いかがでしたか、過敏性腸症候群は胃の状態を良くする、ストレスケア、食事、体操、睡眠と気をつけていく事で改善していきますのでぜひとりいれてください。