自律神経失調症の原因となるホルモンとは
頭痛や目眩が続いている。
倦怠感がひどくて外出もできない。
精神が不安定になり困っている。
ストレスは減らしているつもりなのに治らないので不安だ。
こんなことで悩んでいませんか?
こちらでは自律神経失調症の原因となるホルモンと対処法について書いています。
自律神経失調症とは
自律神経失調症とは、慢性的なストレスが引き起こす体調不良と言えます。
適度なストレスは肉体的にも精神的にも健康的な生活を送る上で有効とされています。
ですが、強いストレスに長期間晒されると心身ともに悪影響をもたらします。
通常であればストレスを感じるとノルアドレナリンが分泌されて心拍数や血糖値などが上がります。
するとストレスを解消するためにドーパミンなどの精神的な快楽物質も分泌されてストレスは解消されます。
ノルアドレナリンもドーパミンも神経伝達物質で自律神経をコントロールしますが、長期間に渡って分泌されることで心身ともに異常をきたします。
ノルアドレナリンやドーパミンが不足すると、
- 集中力の欠如
- 意欲の低下
- 無関心
などといったうつ病に代表される症状が現れます。
自律神経失調症とは、不健康な生活リズムやストレスにより自律神経のコントロールが乱れた状態なのです。
身体のどこにどの程度の症状が出るかは人それぞれです。
うつ病と自律神経失調症は同じ症状ではありませんが、自律神経が乱れると自律神経失調症とうつ病は同時に現れやすくなります。
強いストレスがかかり続けると交感神経が強まりノルアドレナリンが大量に分泌され、夜になっても興奮が冷めずに睡眠障害などが現れる事もあります。
またノルアドレナリンにより心拍数が上がり血糖値が上がると頭痛やめまいの原因ともなります。
感情を司る偏桃体
不安や恐怖といった感情の中枢が脳の中の扁桃体です。
偏桃体で不安や恐怖を感じると対処するためにストレスホルモンの分泌を指示します。
ストレスホルモンとはコルチゾールやノルアドレナリンなどです。
ノルアドレナリンが分泌される時には、ストレスを解消するドーパミンも分泌されます。
脳の快楽物質であるドーパミンは扁桃体において興奮性にも抑制性にも働きます。
扁桃体は不安や恐怖などの感情を感じた時に活動し、うつ病やPTSDといった精神疾患などにおいては扁桃体の活動が過剰であることが知られています。
扁桃体は霊長類などの動物しか持っていない感情を司る部分です。
外からの情報を受けて扁桃体が刺激されると、情報は長期記憶になり頭の中に残ります。
そのため嫌な記憶を思い出すと、何度でもその時のストレスが身体に反応として現れるのです。
慢性的にストレスを感じている人は偏桃体におけるドーパミンの受容体が増えて、よりストレスに敏感になる事が分かっています。
家に帰って身体を休めている時でも、怒られた嫌な記憶のせいで明日の心配もするような状態になるとストレスは倍加します。
そうやって過去や未来についてあれこれ考えを巡らせてしまう状態はマインド・ワンダリング(心の迷走)と呼ばれます。
気をつけたい生活習慣
慢性的なストレスは、脳の扁桃体の暴走が止められなくなります。
扁桃体が暴走すると常に頭の中が不安や怒りや恐怖などのネガティブな気分でいっぱいになり、ストレスホルモンが出っぱなしで自律神経も乱れてしまいます。
結果として自律神経失調症が悪化していくのです。
扁桃体の暴走を止めるには、ネガティブな情報をなるべく避けることが大切です。
偏桃体が不安や恐怖などネガティブな刺激に敏感になると、SNSや他人からの話などの些細な情報でも反応してしまいます。
気になる事であっても、ネガティブな情報からは意識的に目を避けるのが効果的です。
そして普段から自分にとって気分の上がることは何かを意識しましょう。
特に音楽を聴いたり好きなものを見たりするのは気分を上げるうえで効果的です。
大切なのは気分と行動の関係に気づくことです。
気分が良くなる行動があれば、その行動を繰り返して習慣化していくことがストレス解消につながります。
エンドルフィンの分泌
好きなことややりたいことをやっているときに分泌されるのがドーパミンです。
ドーパミンは海馬や扁桃体などの記憶力を高めたり、脳の集中力を高めたりします。
主にドーパミンが出ているのは好奇心が刺激されている時で、そんな状態で楽しめていると脳内ではβエンドルフィンという快楽物質が出ます。
βエンドルフィンにはドーパミンの効果を持続させるので、心地よく集中できている感じになれます。
新しいことに挑戦する子どもが夢中になるのは、このようなドーパミンとβエンドルフィンの作用によるのです。
やりたくない事をやっている時はノルアドレナリンが分泌されます。
ノルアドレナリンの分泌も記憶力や集中力を高めますが、様々な情報に敏感になるので注意が散漫になりやすいという面もあります。
そのため、普段なら気にならない周りの音でもイライラしたりします。
またストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を促して血糖値が上がるので肉体的なストレスにもつながります。
ストレスが溜まると甘い物が食べたくなりますが、これは身体が糖を欲していると同時に食べたことによる満足感でβエンドルフィンが分泌されるからです。
βエンドルフィンを分泌させることは、ドーパミンの効果を高めてストレスの解消に役立ちます。
βエンドルフィンを分泌するには、
- 軽い運動
- 適度な食事
- 入浴する
などが効果的です。
また、深呼吸したり好きなことをしてよく笑ったりすることはノルアドレナリンの分泌を抑制して精神を落ち着けてくれます。
食事ではドーパミンの量を増やすチロシンを含む食事が推奨されます。
ドーパミンの原料となるチロシンを多く含んでいるのは乳製品です。
中でもチーズは特にチロシンの含有量が多くなっています。
また豆腐や納豆などの大豆食品にもチロシンは多く含まれます。
エンドルフィンは油脂を摂る事で分泌が促されます。
甘い物を食べた時に幸せを感じるのは、甘い物に含まれる油脂の効果だったのです。
ですが油脂の怖いところは中毒性があるということです。
甘い物が癖になっているという人は、脳内で分泌されるβエンドルフィンによって油脂を欲している可能性があります。
チロシンと油脂を含む生クリームは気持ちを幸せにするのに極めて効果的な食べ物なのです。
精神的に疲れている時に甘い物を食べるのは精神を整えるのに効果的ですが、中毒になって摂り過ぎないように注意することも大切です。
神経伝達物質を整えて自律神経を整えよう!
ドーパミンやノルアドレナリンは神経伝達物質で自律神経をコントロールしています。
自律神経失調症の中でもやる気が出ずに集中力が無くなっている人はドーパミンの不足が疑われます。
そのためドーパミンを分泌させる生活習慣や食事に加えて、βエンドルフィンを意識することで自律神経が整います。