きつい腰痛に襲われる原因は肝機能の低下
急に腰が痛みだした。
人生で腰が痛んだことなんてなかったのに。
若くはないが健康には自信があっただけにショックだ。
こちらでは40歳前後から急に襲ってくる腰痛と対処法について書いています。
肝臓と腰痛の関係
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれています。
そして肝臓の強さはかなり個人差があり、強い人ほど体力があり体格が立派であることが多いのです。
そのため無理をする人が多く、不眠不休で働いたり暴飲暴食を繰り返したりする傾向が見られます。
そんな生活を送っていれば身体が悲鳴をあげるのは当然です。
特に肝臓の修復は夜の睡眠中に行われるので、睡眠不足の人は回復出来ません。
肝臓は筋肉の修復をはじめとして身体の粘膜や滑液などの様々な修復を担当しています。
そのため睡眠不足のまま肝臓に負担をかけ続けると肝臓の機能が低下し、身体の修復が追いつかなくなったために突然、腰痛に襲われたように感じるのです。
いろいろな肝臓病
① 脂肪肝
肝臓病にはいろいろな種類の病気があります。
暴飲暴食によりまずなるのが脂肪肝です。
最近では食べすぎによる
- 肥満
- 糖尿病
による脂肪肝も増えていますので、注意しましょう。
飲酒が原因の脂肪肝は、飲酒をやめれば短期間で改善するのが特徴です。
血液検査であればGOT(AST)などの数値が悪くなっています。
飲酒だけでなく、
- 脂質の摂り過ぎ
- 過労
- 睡眠不足
などでも脂肪肝になり肝機能は低下します。
飲酒せずに脂肪肝になった状態をNASH(非アルコール性脂肪肝)と呼びます。
② アルコール性肝炎
脂肪肝の状態でさらに大量の飲酒をした場合にアルコール性肝炎になります。
- 腹痛
- 発熱
- 黄疸
などの症状を伴い、死亡する場合があります。
アルコール性肝炎で運よく改善した人がまた飲酒を再開するとやがて肝硬変に進みます。
血液検査でもγーGTPの値が悪いのが特徴です。
当院の患者さんで多いのは毎日の接待などで大量にお酒を飲む人が多く、20~30代まではなんともなかった人も40代くらいを境に強烈な腰痛に襲われることがあります。
③ 肝硬変
肝硬変の状態がアルコール性肝臓病の最終段階です。
日本酒で約7合を毎日10年以上飲み続けた場合約20%に、また15年以上飲み続けた場合では約50%に生ずるといわれています。
重大な症状としては
- 腹水
- 黄疸
- 吐血
などが見られます。
肝硬変と言うともう治らない病気と考えられていますが、断酒を継続していると肝硬変が改善するという点が挙げられます。
肝炎の段階で肝機能を回復させられれば問題ありませんが、肝硬変に進むとあとは肝癌の危険が一気に上がります。
飲酒の目安
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、よほどのことがない限り音を上げない臓器です。
適正と言われる飲酒量は、
- 日本酒にして1合
- ビールなら中びん1本
と言われます。
AST(GOT)、 ALT(GPT)が高値の場合には肝炎が疑われますので、断酒が必要となります。
厚生労働省の発表でも、習慣的な飲酒量が1週間当たりで日本酒9合弱(1日当たり日本酒1.3合弱)である集団は脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患の確率が高くなるとあります。
これらのことからも許容飲酒量は1日当たり日本酒1合程度と考えられ、週1日以上の休肝日は設けるようにすることがおすすめです。
ただし既に何らかの理由で医療機関に受診している方は必ず担当の医師の指示にしたがってください。
肝臓を元気にして痛み知らず!
肝臓を元気にするためには睡眠が欠かせません。
可能なら
- 6時間の睡眠をとる
- 寝る3時間前の食事は避ける
- 夜の12時を超える前に布団に入る
などを心がけましょう。
もう一つは内臓体操です。
肝臓は右側の肋骨に守られるような位置にあります。
そのため体幹の側面を伸ばすのは効果があります。
軽く傾けて2~3回倒したら10秒ほどキープしましょう。
まとめ
肝臓の機能低下は身体の回復力を下げるのできつい腰痛の原因になります。
肝臓を弱らせる原因はアルコールばかりではなく、ちょっとした生活習慣に潜んでいます。
そのため治したいのは腰痛であっても、まずは生活習慣の改善や内臓体操から始めるのが大切です。